法人のお客様はこちらをご覧ください 異物総研 個人のお客様用ホームページ  異物検査とその予防方法
異物検査
トップページ サイトマップ
法人のお客様はこちらをご覧ください




Case 32

■ イヌの小腸から出てきた異物

誤飲異物による腸閉塞

こんにちは。 異物検査員です。

今日は少し痛々しいお話・・・
ペットの小腸から出てきた異物です。

犬の小腸から出てきた異物 ←異物はコレ。



異物が発見されるまでの経緯
ペットとして飼っているワンちゃんが、ある日突然元気が無くなり、
食べては戻すの繰り返しになったのだそうです。
飼い主の方がすぐに気付き、動物病院で多くの検査を受けたそうなのですが、
血液検査の結果が日を追うごとに悪くなり・・・。

でも、その一方で、レントゲン、エコ-、バリウムなどの検査では、
ハッキリとはわからなかったのだそうです。

原因がつかめないまま、このままではもしかしたら死んでしまうかもしれない、と、
試験的に開腹手術を行ったところ、小腸から写真のような黒い異物が検出されたとのこと。

異物の拡大写真 ←異物の拡大写真。

異物の太さは1cm程度、長さは様々です。
この異物は小腸に癒着していたため、小腸を6cmも切除したんだそうです。




異物は何か?
異物はとても硬くて、見た目は真っ黒。
力を加えるとボロボロに崩れたことから、最初の印象は、
何かの寄生虫、プラスチックや石や砂の塊、木片や木炭のように見えました。

そこで、慎重に切片を作って、顕微鏡で確認したところ、
異物から、丸みを帯びた植物細胞と維管束組織が観察されました。

異物の顕微鏡写真 ←異物の顕微鏡写真。

このことから、異物は寄生虫とか、プラスチック類とか、石や砂などが集まったものじゃなくて、
何かの植物片 と判明しました。




何の植物か?
異物を詳しく調べていくと、この植物、木や竹の組織の特徴を全然持っていなくて、
木や竹、木が炭化した木炭などの植物ではないことがわかりました。

そこで、わが社で集めている、植物のデータベースで調べたところ、
異物の細胞の形は、なんと!

カボチャなどの野菜のヘタ(硬い部分) に似ていることがわかりました。

野菜のヘタの顕微鏡写真 ←野菜のヘタの部分の顕微鏡写真。

ただ、異物は消化が進んでいたのかボロボロだったんで、
詳しいデータは得られなかったんです。

だから異物が野菜のヘタとは限らないんです。

もともと、植物の細胞からだけでは、植物の種類を特定するのは難しいんですけど、
今回も、野菜かどうかだけじゃなくて、おおよその植物の分類すらも分からなかったんです。

でも、一番上の写真を見るとわかるように、
もし異物が1本だったら、かなりの長さがありそうなんです。
しかも、太さは1cm近くもありそうだし、太くて長くて硬い植物の可能性が高そうです。




どこで食べてしまったのか?
太くて長くて硬い植物・・・しかも、それが 「木」 じゃない、となると、
ご家庭で食べてしまう可能性は非常に低いと思うんです。

なぜなら、家庭内にある太くて長くて硬い植物 って、
割り箸、菜箸、ザルの一部とかエンピツ・・・
それらは、ほとんどが 「木」 や 「竹」 でできているものだからです。

また、野菜の硬い部分に似ていた今回の異物ですが、
野菜の硬い部分って、店頭で販売される前に短く切られていることがほとんどですよね。

硬くて長くて太い部分がある野菜や果物って・・・うーん。
七夕用に販売されている スイカのツル とか・・・?。
それも最近じゃあまり見かけないし・・・。



だから、この異物は、
ご家庭内で口に入ったものではなく、外で食べてしまったと思われるんです。

異物が何の植物かがわからないので、なんともいえないのですが、
公園や広場、畑の近くなど、硬そうな植物 (色は黒じゃないかもしれません) には要注意です。
可能性は低いけれど、八百屋や市場の近くでも、こういう植物があるかもしれません。



でもこの飼い主さん、お散歩中にも気を配っていらっしゃいまして、
口に入れたものを吐き出させるように、しっかりとトレーニングされていたのだそうです。
そのため、今回の件はとてもショックだとか・・・。

でも、早期発見されたことで、ワンちゃんが無事で本当に良かったです。






ペットの腸閉塞
ペットが異物を飲み込んでしまって、腸閉塞になることは稀にあるそうです。
異物だけじゃなくて、寄生虫とか腫瘍などでも起こるのだとか。
ですが、大概がX線検査 (バリウム造影) でわかるようなんです。

でも、今回のように、分からないこともあるんですね。
植物の異物は、実はとても厄介なのかもしれません。





前のページへ 次のページへ
INDEXへ 種類別検索へ


お問合せ・ご注文はこちらから
異物総研株式会社
   Copyright(c) 2007 IBUTU Research Institute, Co.Ltd. All Rights Reserved.