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Case 13

■ 緑斑事例と鉄の定性試験

魚を焼いたらカビが出てきた!?


お魚を焼くと、焼く前には何も無かったのに、緑色や灰黒色のカビのような斑点が出てくることがあります。

家で作っていたのならまだしも、お店や食堂で緑色の斑点があるお魚が出てきたら、ギョッとしますよね。
見た目はとても気持ち悪いですけれど、実はこれ、ある意味 「自然現象」 と言えなくもないのです。

 <緑変現象> ここまで緑色になることもあります。

この緑変部分をとり、鉄が含まれていると青く変化する反応試験を行うと、見事に青色になります。
そのため、鉄が関係しているのは明らかです。

 <鉄の簡易定性試験> 鉄が含まれていると青く変化します。



緑色の原因物質は 「硫化鉄」。


硫化鉄というのは、硫黄と鉄が加熱によって反応したもので、暗緑色~灰黒色をしている物質です。
じゃぁ、どこから硫黄や鉄が出てきたの?  ・・・っていう疑問が浮かびますよね。

硫黄

  • 硫黄はタンパク質から出てきます。だから、お魚そのものが持っている物質と言っていいでしょう。

  • 鉄は、お魚を焼いたグリルや鉄板などの鉄製品から出てきたものです。






どうして鉄が付着するの?
「鉄が魚に付着するなんて、よほど汚れた鉄板を使ってるのかしら?」
なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

でもそれは違うのです。
この現象は、キレイに磨かれた鉄板を使った場合に多く出てくるという、困った現象なのです。

鉄板を磨けば磨くほど、表面が傷ついちゃいますよね。
その上に魚を載せて焼いてしまうと、目に見えないほどの小さな鉄粉がお魚の表面に付き、
加熱しているときに化学反応が生じて、緑色の斑点状になってしまうのです。
だからこの現象は、魚の片面 (鉄板に接している面) だけに現れることがとても多いのです。

つまり、よく掃除して、鉄板を磨いている 「しっかりとした」 お店でよく出てくる現象なんですよね。
一生懸命掃除したのに、異物騒ぎになってしまっては、報われませんよね。





予防対策
「この現象を少なくするためには、鉄板を洗わなければいいの?」 
・・・という疑問が出てきそうですが、いえいえ、そんなことはありません。
鉄板を洗わないと、鉄板の上に溜まったコゲなどが異物となってしまいますから、よく洗ってくださいね。

そのかわり、この現象を少なくするためには、お魚を鉄板に直接載せないようにするのが一番です。
クッキングシートとかアルミホイルなどを利用すると良いでしょう。





食べても大丈夫?
ところでこの硫化鉄、それ自体に毒性は少ないので、少しなら食べても大丈夫です。
でも、酸で分解される時に、毒性のある硫化水素が出てきちゃいますので、たくさんの緑班、黒斑が見えるものは食べないほうがいいかもしれません。それは、コゲをあまり食べないほうが良い、というのと同じレベルの話です。
まあ、緑色の斑点がたくさんある魚は、気持ち悪くて食べられませんよね。





他の食材でも同じ現象が起こります
ちなみにこの現象、焼き魚だけじゃなくて、タンパク質が多く含まれている他の食品でも同じ現象が起きます。ベーコンやハム、ソーセージなどの肉製品で多く、同じ原理で緑色~灰黒色になります。

この硫化鉄の現象は、高タンパク食材の「卵」では有名な話です。
ただ、卵の場合は 「鉄の由来」 が異なりますので、その話はまた後日。

尚、餃子やシュウマイなどの、一見、高タンパクではない製品でも、この現象が見られる場合があります。
どんな加工食品でも起こりうるので、困った現象なのです。





硫化鉄の生成を予防する方法 (加工食品編)
硫化鉄は先に書いたように、調理器具を磨けば磨くほど生じやすい現象です。
そのため、調理器具にじかに食材を載せない、というのが一番の対策になります。

その他に、加熱後に放置する時間が長いとタンパク質の分解が進み、硫黄が硫化水素などの気体になって、表面に出やすくなります。そして、表面についている微小な鉄分と反応して、時間と共に緑色になってしまうということがあります。

また、この反応は加熱温度が重要で、温度が高ければ高いほど反応が進みやすくなります。

そのため、すぐに冷蔵して保管期間を短くする方法も有効です。





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