卵焼きのカビ!?
前回、魚や肉に緑色の斑点が出来るのは硫化鉄によるもの、というお話を書きましたが、
この現象は、卵の業界ではとても有名な話です。
卵の場合は、ゆで卵にしただけで、普通に緑変現象が見られます。
みなさんもご経験があると思うのですが、卵の黄身の周りがうっすらと緑色になることがありますよね。
あれが、硫化鉄の生成による緑変現象です。
でもちょっと待って。
異物検査員は、前回、「鉄は調理器具から付着したものですよ」 と書きました。
しかし・・・ゆで卵は卵の殻で包まれているので、鉄板などの調理器具が接することはありませんよね。
じゃぁ、鉄はどこから来たんでしょう。
卵には、硫化鉄が生成しやすい条件が揃っています。
卵の黄身には、多くの鉄分が含まれています。
だから、卵が変色する原因の鉄分は、卵の黄身に初めから含まれている鉄分です。
それだけじゃありません。
卵の白身には、多くの硫黄分が含まれています。
腐った卵から温泉の臭いがするのは、白身が分解されて、硫黄を含む 「硫化水素」 というガスが発生しているからです。
つまり、卵は、硫化鉄による変色現象の条件が整った食材なのです。
そして、 「黄身の鉄分」 と 「白身の硫化水素」 が接しているところは、黄身の周りの部分。
だから、黄身の周りが緑色に変色するのです。
この現象は、ゆで卵だけじゃなくて卵焼きなどの卵製品でもよく起こります。
卵の緑変の場合は、卵本来に含まれている鉄分と硫黄分の化学反応であることが多いので、とてもやっかいです。鉄を含む調理器具を使っていない場合でも、一部が緑色に変色してしまうという、摩訶不思議な現象となってしまいます。
例えば、「冷凍された卵焼きや錦糸玉子」 を解凍した時などの場合。
解凍する前には普通の卵製品だったのに、解凍した後にカビのような斑点がたくさん出てきた!
・・・など、よくある話なのです。
この卵の緑変現象を防ぐためには、速やかに冷却すること、解凍を素早く行うこと、が最も重要です。
硫化鉄の生成は、加熱温度や加熱時間で反応が進んでしまいますので、急いで手早く行ってくださいね。
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