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Case 18

■ チロシンの針状結晶

カビじゃないのよ、アミノ酸~。


魚の塩蔵品や乾燥品 (ひらき、とか) からカビのようなものが出てくることがあります。

チロシンの析出 ← こんな感じ。 

遠くから見ると、白くて、光沢があって、フサフサしていて、いかにもカビが生えたみたいに見えます。

塩蔵品っつーことは、「塩」 なんじゃない? とお思いの貴方。 おしい!



これは、 「チロシン」が析出したものです。


チロシンというのは、アミノ酸の一種です。

アミノ酸っていうのは、タンパク質を構成している物質。
アミノ酸がたくさん繋がって、タンパク質が作られてます。

チロシンの析出が魚の塩蔵品・乾燥品で多い理由は、魚の旨みを出すために干したり乾燥させているときに、タンパク質が分解されるからです。 タンパク質が分解すると、アミノ酸やペプチド (アミノ酸が数個くっついたもの) になっていきます。

アミノ酸って旨み成分ですからね~。
熟成されてアミノ酸が増えると、食品はどんどんおいしくなっていきます。
お肉は腐る直前が一番美味しい、ってよく言いますが、まさにその通り。
最高級熟成っていうのはアミノ酸がたくさん増えている状態なんですよね。

多くのアミノ酸は、アミノ酸飲料になるくらい水に溶けやすいものなのですが、このチロシンは水に溶けにくい性質を持っています。それで、乾燥と共に、結晶として析出しやすくなるのです。



チロシンの結晶
チロシンは、特徴的な結晶を作ります。

針状結晶 ←結晶を顕微鏡で観察したもの

チロシンの結晶は、すっごくキレイ。
細長くて、一本一本が針のように見えるので 「チロシンの針状結晶」 とよく言われます。



チロシンが析出しやすい食品
チロシンの析出事例は、魚の塩蔵品、乾燥品だけではありません。
 ・ 肉を熟成させて作るハム
 ・ タンパク質を多く含むチーズ
 ・ お漬物、キムチ
 ・ 納豆
上記のような、旨みを出すために時間を掛けて作る製品からは、特に出てきます。

チロシンを多く含む野菜からも、よく見られます。
特にタケノコにはチロシンが多く含まれてます!
タケノコをゆでた時に白いベロベロとしたものが出てきますよね。 あれもチロシンの結晶です。



食べても大丈夫?
摂取しても人体に影響はありませんから、気にすることはありません。
チロシンは、甲状腺ホルモン、メラニン色素、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの前駆体で、ヤル気やストレスに関与していると言われていますしね。
でも、どんな食品でも食べ過ぎると害になるので、「あえて食べすぎる」 ことはしない方がいいですよ。

特に、甲状腺機能亢進症の人では症状を悪化させる可能性があるといわれていたり、甲状腺ホルモン剤の作用を増強させる恐れがありますので、医師と相談の上、摂取してくださいね。





チロシンの結晶析出
チロシンはアミノ酸の一種。白色または無色の結晶です。
多くのタンパク質に含まれる物質で、冷水に難溶性なので比較的析出しやすく、光沢のある針状結晶となります。魚の塩蔵品や乾燥品などから発見され、見た目がカビに見えることも多いので、異物クレームの原因になります。

析出の原因は、温度変化、pHの変化、製品の乾燥、製品の鮮度の低下など。

そのため、チロシンの析出を防ぐには、原料の鮮度保持と製品の部分的な乾燥または脱水を防止することが重要となります。保水性の高い縮合リン酸塩の使用や、調味液として砂糖、水飴などの添加が効果的です。





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